派遣スタッフの業務範囲を広げたいとき|アパレル店舗での契約の確認と4ステップ
「この業務も頼んでいいのか」を整理する
アパレルブランド様や店舗運営の責任者様から、派遣スタッフへの業務の追加に関するご相談を伺うことがございます。
- 売場に慣れてきたので、VMDの変更作業も任せたい
- 館の催事に合わせて、催事スペースでの販売にも入ってほしい
- SNSに載せる着用写真の撮影を手伝ってもらえないか迷っている
- どこまでが今の契約の範囲なのか、店長と本部で判断が分かれている
こうした声の背景には、業務の範囲を決めている契約書の記載が、店頭からは見えにくいという実情があります。
頼みたい業務が増えるのは、スタッフが売場に馴染み、戦力として信頼されてきた表れでもあります。せっかく築いた信頼関係を、手順の行き違いで損なわないことが、業務を追加するときの要点になります。
この記事では、ファッション・美容業界に特化して人材派遣・人材紹介を提供する立場から、業務を追加したいときの考え方と、店舗での進め方を整理していきます。
契約範囲の前提|業務の内容は契約書で決まっている

はじめに、業務の範囲が決まる場所を確認しましょう。
派遣スタッフの業務の内容は、派遣会社と派遣先が結ぶ労働者派遣契約で定めます。就業の場所、直接指示を出す担当者、就業日や時間も、同じ契約で定める項目です。
店頭で「ついでに」と頼む業務であっても、判断の基準は契約に定めた業務に含まれるかどうかです。
厚生労働省の業務取扱要領では、業務の内容をできる限り詳細に記載することが示されています。
つまり、追加したい業務があるときに最初に見るのは、売場の忙しさではなく、今の契約書の記載です。手元に契約書がない場合は、本部の担当者か派遣会社に確認しましょう。
契約の範囲の外にあたる業務の例は、派遣先が注意したい業務の整理でも整理しております。
追加したい業務を、契約書の4つの項目で見分ける

追加したい業務は、契約書のどの項目に関わるかで分けると整理しやすくなります。以下で、4つの項目に分けて見ていきます。
①業務の内容が増える
- VMDの変更やディスプレイの組み替え
- EC用の商品の採寸や撮影の補助
- SNSに載せる着用写真のモデルや撮影
- レジ応援や会計まわりの作業
契約書の業務の内容が「販売・接客」だけの場合、こうした業務は記載の外になる可能性があります。「付帯する業務」としてどこまで書かれているかも、あわせて確認します。売場の延長に見える作業ほど、店長ごとに判断が分かれやすい部分です。
②業務に伴う責任の程度が変わる
売場のリーダー職や、レジ締めの確認役を任せたい場合です。業務に伴う責任の程度も、契約で定める事項の一つです。
③就業の場所や、指示を出す人が変わる
- 館の催事スペースやポップアップでの販売
- 近隣の店舗へのヘルプ
- 本部での展示会の準備
実際には、「同じ館の中だから大丈夫だと思っていた」という確認漏れのご相談を伺うことがあります。契約に定めた場所に含まれるかどうかを、事前に派遣会社と確かめておきましょう。
ヘルプ先や催事で指示を出す人が変わる場合や、運営する会社が異なる場合は、場所の変更だけでは整理できないことがあります。早めに派遣会社へご相談ください。
④就業日や時間が変わる
初売りやセールの延長営業、棚卸しの早朝作業などです。就業日以外の勤務や時間の延長を頼む可能性がある場合は、その日や時間数を契約で定めておく扱いです。
「別途協議」「可能な範囲で」といった書き方が多い契約書の見方は、派遣会社の評判の見抜き方の「契約書で見る」段階でも触れています。
業務を追加するときの進め方|4ステップ

関わる項目が見えたら、次の4つのステップで進めます。
ステップ①:追加したい業務を言葉にする
書き出すのは次の4点です。
- 何の業務を
- いつから、どのくらいの頻度で
- どの場所で
- 誰の指示のもとで
「売場全般を手伝ってほしい」のままでは、契約に書ける言葉になりません。
ステップ②:本人に頼む前に、派遣会社へ相談する
店長から直接頼まれると、本人は評価への影響を気にして断りにくくなります。
契約の確認と本人の意向の確認は、派遣会社を通じて進めましょう。本人も、考える時間を持てます。
ステップ③:契約の変更を取り交わす
変更する項目が決まったら、本部の契約担当(派遣先責任者)を通じて、派遣会社と契約の変更を取り交わします。業務取扱要領では、一部だけを変える場合は、元の契約を指定して変わる事項を定める形で足りるとされています。
変更後の就業条件は、派遣会社から本人へ明示される流れになります。
業務の内容や責任の程度が変わると、待遇の情報や派遣料金の見直しが発生する場合もあります。あわせて派遣会社へご相談ください。
ステップ④:店内で共有する
指示を出す店長や社員に、追加した業務と開始日を共有します。厚生労働省の指針でも、契約で定めた就業条件を、指揮命令者などの関係者へ周知することが示されています。
共有が漏れると、別の社員が以前の範囲のまま指示を出してしまいます。
本人にとっての「業務の追加」を設計する

手続きが整っても、新しい業務が売場に根づくかどうかは、本人の受け止め方で変わります。
頼むときは、次の3点を言葉にしておきます。
- なぜその人に頼みたいのか
- 追加した業務で、何を期待しているのか
- 元の業務との時間配分をどうするか
たとえばVMDを任せるなら、ブランドの見せ方への理解を評価した点を伝えます。理由が伝わると、業務の追加は信頼の表れとして受け止められやすくなります。
実際には、業務だけが増えて頼む理由が伝わらず、負担に感じてしまったという相談を派遣スタッフから伺うことがあります。理由が見えないと、「空いた時間を埋めるために頼まれている」と受け止められる可能性があります。
時間配分も見落とせません。元の業務を調整しないまま足すと、お声掛けやフィッティング対応の時間が削られてしまいます。
スタッフの役割の決め方は、長期派遣の導入メリットと効率的な運営方法でも整理しております。
繁忙期と催事は、契約の段階で見込んでおく

業務の追加を急いで決めることになりやすいのは、繁忙期や催事の直前です。
アパレルの売場は、初売り・セール・季節の立ち上がり・館の催事・棚卸しと、年間の予定がある程度見えています。時期ごとに必要になりそうな業務は、契約の段階で見込んでおけます。
- セール時期の延長営業や休日の勤務
- 館の催事スペースでの販売
- 棚卸しや売場替えの作業
契約を申し込む段階で、指示を出す予定の店長から業務の内容や責任の程度を確かめておくことが、厚生労働省の指針でも示されています。
店長が年間の売場の予定を派遣会社と共有しておくと、直前の契約変更が減ります。本人も、先の見通しを持って働けます。
契約の段階での設計については、派遣契約の中途解約の「解約に至らないための契約設計」でも触れています。
この課題に、ルミエール・ジャパンはこう向き合っています

アパレルの売場では、接客に慣れたスタッフほど、VMDや催事など売場づくりに関わる機会が増えていきます。その広がりを各ブランドのトーンに合った形で設計できるかどうかが、本人の定着と売場の質を左右します。
だからこそ、追加のご相談をいただいた際は、契約の項目の確認とあわせて、本人の得意や意向を踏まえた任せ方をご提案しています。繁忙期や催事を見込んだ業務の範囲を、契約の段階で整理しておくことも、あわせてお手伝いしています。
まとめ:業務は「相談・契約・共有」の順で広げる

派遣スタッフに業務を追加したいときの考え方と進め方を整理してきました。
- 業務の内容・責任の程度・場所・指示を出す人・就業日や時間は、労働者派遣契約で定める
- 追加したい業務は、契約書のどの項目に関わるかで4つに分けて見る
- 進め方は「言葉にする→派遣会社へ相談→契約の変更→店内で共有」の4ステップ
- 本人には頼む理由と期待を伝え、役割が広がる場面として設計する
- 繁忙期や催事の業務は、契約の段階で見込んでおく
業務の範囲を契約で定めるのは、雇う会社(派遣会社)と指示を出す会社(派遣先)が分かれている派遣の仕組みから来るものです。制約というより「使い方の前提」として捉えていただくのが自然かと思います。前提を押さえておけば、業務の追加は、スタッフの力を売場に活かす機会になります。
相談、契約、共有。この順番を守ることが、業務を無理なく広げる近道となります。
派遣スタッフに任せる業務を広げたい、繁忙期や催事に向けて契約の範囲を見直したい — そんな段階の企業様こそ、まずは現状の課題をお聞かせください。
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